七転八倒の激痛 尿路結石

ある病気になったとき、その疑いがあるといわれたとき、今後自分はどうなるのか気になりますよね?
さまざまな病気について、なおし方やつきあい方を医師がやさしく解説するびょうき 学びの部屋シリーズ。

第2回は「七転八倒の激痛 尿路結石」というテーマでお届けします。


尿路結石とは?

尿路結石とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿の通り道(尿路)に、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム、尿酸などが固まってできるものをいいます。  

小さな結石は尿として自然に排泄されることもありますが、大きいものが細い尿管を通って排出されようとするとき、詰まっているときに痛みを伴うのです。その痛みは、あまたの病気の中でも「3大激痛」といわれるほど非常に痛い病気トップ3に入るのだとか。(3大激痛は他に「胆石」「すい炎」、ただし諸説あり。)

決してまれな病気ではなく、男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生に一度はなる病気です。

こんな人は要注意!

● こんな症状はありませんか?

尿管に結石がある場合は、石が詰まって尿が流れにくくなるため、背中や脇腹が強く痛むほか、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。他にも、血尿や頻尿・残尿感を訴える方もいます。
 一方で、腎臓に結石がある場合や尿管が詰まっていない場合は、ほとんど自覚症状がありません。ただし放っておくと、腎機能に障害が及ぶことがあり、ときに細菌に感染して腎盂(じんう)腎炎という危険な状態に陥ることも。
 激痛ではなくとも、痛みや血尿などがみられたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。

● なぜ結石ができるのでしょうか?

さまざまな要因が関係してきますが、原因の一つに、肉など動物性タンパク質や塩分・糖分の摂取量が増えていることがあります。動物性タンパク質の摂取が多いと、体内に結石のもとになるシュウ酸などが増えるからです。
 また、シュウ酸はカルシウムと結合すると便として排泄されることから、シュウ酸が多い割にカルシウムが不足しているのも良くありません。

食生活に加えて、運動不足肥満の方にも、尿路結石が多くみられます。

つまり、代謝異常や内分泌疾患の方(痛風、高尿酸血症、糖尿病など)生活習慣病やメタボの指摘を受けている方は要注意であり、近年は若い患者も増えています。

また、水分の摂取不足や、なかなかトイレに行けない生活をしていても、尿が濃くなって結石ができやすくなるため、注意が必要です。

さらに、閉経後の女性はホルモンの分泌が激減し、骨から血液そして尿へとカルシウムがたくさん溶け出すため、カルシウムを主成分とする結石ができやすくなります。骨粗しょう症の方は注意しましょう。

尿路結石の検査から治療まで

まず尿検査で血尿の有無を調べます。また、X線検査やCT検査により、結石の場所や大きさ、尿の詰まりを確認します。それらの結果をもとに診断し、治療方針を決定します。

小さな結石(10mm程度以下)の場合は、自然に排出されることが多いため、水をたくさん飲み、排石を促す薬を服用して様子をみます。
 それでも排石されない場合や、10mm程度以上の結石の場合は、大きさや位置に応じて、次の治療法が選択されます。

比較的手軽に治療できる方法が、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)です。
 これは、結石に体外から見えない衝撃波を照射して砕く方法で、若干痛みを感じることもありますが、麻酔なしでできます。ただし、大きな結石ですと完全に除去できません。

より大きな結石でも砕くことができる方法として、経尿道的結石破砕術(TUL)があります。
 これは、尿道から内視鏡を入れ、体内で超音波やレーザーを発して結石を破砕し、破片を器具でつまんで取り出すというものです。全身麻酔ですが、体を切開するわけではないため、低侵襲な(体への負担が少ない)方法です。

腎臓に大きな結石がある場合に行われることが多い方法としては、経皮的腎砕石術(PNL)があります。
 これは、背中から腎臓までの間に直径1cmほどの通路を作り、内視鏡を挿入して、腎臓内の結石を砕いて取り出す手術です。

また、受けられる施設は限られますが、TULとPNLを同時に行ってより確実に結石を取り除く手術(経皮・経尿道同時内視鏡手術、ECIRSもあります。
 ちなみに、後段でも述べますが、当院ではECIRSを受けていただくことができます。

再発を予防するために

尿路結石は除去できますが、再発率はかなり高く、5年間で45%、10年間で60%が再発すると言われます。さまざまな生活習慣の“偏り”をなかなか改善できないことが、再発が多い理由の一つでしょう。そのため、再発を予防するようなライフスタイルを心がけつつ、治療後も定期的に健康診断を受けることが重要です。

また、結石を取り出したときに成分分析を行うこともあり、何を主成分としているかに合わせて、より踏み込んだ再発予防策を考えることができます。とはいえ、主成分がカルシウムであるからといって、自己判断でカルシウムを摂取しないと、逆効果になりかねません。医師の指導のもとで個人に合わせた予防策に取り組みましょう。

● 主な予防策

  • 水をたくさん飲む

尿が薄まって結石ができにくくなるため、2Lを目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。

  • 食生活を改善する

結石の成分を増やす肉類などの動物性タンパク質を少し控え、野菜を多く摂りましょう。
 ホウレン草などの野菜、ナッツ類、バナナ、たけのこなどにはシュウ酸が多く含まれますが、これらは栄養も豊富で身体に必要なものも多く含まれているので、カルシウムを多く含む食品を併せて摂るとよいでしょう。
 尿酸を主成分とする結石の場合は、プリン体を多く含む食品(レバーや干物など)の摂りすぎに気を付けましょう。

  • 適度な運動

水分を十分に摂りつつ、適度な全身運動をするとよいでしょう。

当院の尿路結石治療の特徴

尿路結石の治療法としていくつもの方法が確立されていますが、なるべく体に傷をつくらず、入院が短ければ、患者さんの負担は大きく軽減するもの。
 当院では、患者さんにとって最も安全で体にやさしいと考えられる治療法を提供できる体制と環境を整えていますので、できるだけ低侵襲な(体への負担が少ない)手術を選択し、入院期間の短縮にもつなげています。

学会認定の専門医が複数在籍しており[注]、さまざまな尿路結石のケースに対する治療の実績が十分にあります。尿路結石の基礎研究に携わってきた医師がおり、豊富な知識・経験、そして常に新しい知見に基づいて治療にあたっています。手術経験も豊富で、経皮・経尿道同時内視鏡手術(ECIRS)を受けることもできます。

軟性尿管鏡

また、尿管組織を傷つけにくいという特徴のあるヤグレーザーや、細くしなやかな軟性尿管鏡など、新しい医療機器を積極的に導入して、結石を除去する機能の向上と体への負担の軽減に努めています。

 さらに、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)では、全国的にみても数少ない、日帰りでの治療ができる施設です。

[注]  日本泌尿器科学会認定泌尿器科指導医・専門医および日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会認定泌尿器腹腔鏡技術認定医が在籍。詳細は泌尿器科医師紹介ページ参照。

記事監修: 医師 神谷浩行

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