治療は日進月歩 関節リウマチ

ある病気になったとき、その疑いがあるといわれたとき、今後自分はどうなるのか気になりますよね?
 さまざまな病気について、なおし方やつきあい方を医師がやさしく解説するびょうき 学びの部屋シリーズ。

第5回は「治療は日進月歩 関節リウマチ」というテーマでお届けします。


関節リウマチとは?

 関節リウマチとは、免疫機能が異常に働き、関節内の「滑膜」という薄い膜に炎症が起こって、痛みや腫れなどを招く病気です。炎症が続くと、骨や軟骨の侵食やじん帯の緩みが進み、関節が破壊されて変形し、日常動作に大きく影響します。

やがて炎症は全身に広がるため、関節にとどまらず、肺や気管支、血管などにも障害が起こり、さまざまな病気を併発することも。関節リウマチはときに動脈硬化を促進するため、心筋梗塞や脳梗塞になりやすく、実は寿命にも影響するような病気なのです。

本来はウイルスなどの外敵から身を守るために働く免疫機能。それがなぜ異常に働き、自身の身体を攻撃して炎症を引き起こすのか。その詳細は分かっておらず、遺伝や歯周病などの細菌感染が原因ではないかといわれています。

ひと昔前は進行を止める方法はありませんでした。しかし、治療法が大きく進歩し、現在は早くから適切な治療を行えば、症状が落ち着いて発症前のように過ごせる状態(この状態を「寛解(かんかい)」といいます)にもっていけるようになりました。痛みや腫れがほぼ完全になくなる方や、関節の破壊が止まって一部骨の修復がみられる方もいるのです。

しかし、関節の破壊は発症後半年~1年の早いうちから進むとされており、初期症状を感じた段階で早めにリウマチの専門医に診てもらうことが重要です。
 

こんな症状はありませんか?

30〜50代の女性に多くみられますが、どの年代・性別にも起こります。
 

初期段階では、両手足の指の複数の関節が腫れ、とくに朝、こわばり(硬くはれぼったくて動かしにくい状態)がみられます。腫れている部分はブヨブヨと柔らかいのが特徴です。典型的なのは、手の第二関節に症状が出て、爪が隠れるまで手を握ることができなくなっている状態です。

進行すると、肩・肘・膝・股関節などにも症状が出て動かすのがつらくなるうえに、貧血や微熱、体のだるさなどの全身症状を伴う方もみえます。
 炎症が長く続くと、指が短くなったり関節を脱臼したりして、やがて手足が変形していきます。
 

関節リウマチの検査から治療まで

診断の際は、問診や診察、血液検査を行い、炎症や免疫異常の有無とその程度を調べます。さらに、X線・MRI・超音波などの画像検査をして、腫れや炎症の有無、関節の変形について調べます。
 診断がつくと、検査結果と患者さんのライフスタイルなどを考慮して、治療方針を決めていきます。

● 薬による治療

治療の基本は薬です。抗リウマチ薬としてよく知られる飲み薬 メトトレキサートをはじめとする免疫抑制剤を服用します。中には、口内炎や吐き気などの副作用を伴うものもあります。
 また、薬は組み合わせて用いることがあり、補助的にステロイドを関節に注射することもあります。
 最近使われ始めた薬剤としては、関節を攻撃している炎症性物質を中和する働きのある生物学的製剤低分子化合物(JAK阻害薬)などがあり、高い効果が認められています。

薬は飲み続けなければなりませんが、効果が出れば、関節の変形を抑え、日常生活のつらさや不便さが解消し、合併症のリスクを減らして寿命にも良いといえます。

● 手術が必要になったら

薬の進歩により関節がひどく破壊されるケースは減ったものの、障害が残る場合は、患者さんの生活の質をより良くするために手術をすることがあります。

下肢(股関節や膝関節)では、人工股関節置換術(障害のある関節を人口関節に置き換える手術)で、痛みを感じずに歩けるようにします。
 上肢(手指関節など)では、障害の程度に合わせて、人工関節置換術関節形成術(関節を温存してじん帯や腱などのバランスを整える手術)、関節固定術(関節の骨どうしをくっつけて固定する手術)などの手術手技を駆使することで、見た目が改善され、より手が使いやすく、痛みも軽くなるようにします。

長くつきあっていくために

関節リウマチとは長いつきあいになります。患者さんと医師が話し合って、症状が安定した「寛解」を目指して、日常生活の質を徐々に高めていきます。ひと口に寛解といっても、腫れや痛みがないこと、関節破壊が抑えられていること、そして日常生活が問題なく送れること、いずれも大切。そのためには、薬に頼るばかりでなく、生活習慣の改善が重要です。

まずは関節への負担を減らすよう日常動作を見直しましょう。関節が腫れて熱をもっていなければ、リハビリや軽い運動で関節が衰えないよう筋力を維持することも効果的。喫煙は症状を悪化させるため、禁煙しましょう。

また、感染症(例:肺炎、インフルエンザなど)にかかりやすくなるため、注意が必要です。予防接種は積極的に受けるとよいでしょう。

寛解後も、自己判断で薬などの治療をやめてしまうと再発することがあります。再発を予防・早期発見するため、医師の指示に従って通院して検査を受けましょう。

手術を受けた方は、手術部位に過度な負荷がかかることは避けましょう。手術をするほど関節が壊れていたのですから、周辺の筋肉も含め関節機能は衰えているものです。関節の保護と治癒を促すための装具を作って装着したうえで、筋力を回復させ可動域を増やすためのリハビリテーションを行います。
 

当院の関節リウマチ治療の特徴

内科と外科の両方で学会認定のリウマチ専門医らが複数名在籍しています。内科と外科の連携のもと、個々の症状に合わせて、幅広い知見と技術を駆使した治療を提供することができます。

膠原病・リウマチセンターを開設しており、薬物療法では、膠原病・リウマチ内科の専門医が、最新の知見をもとに、的確な診断と治療法の選択に努めています。生物学的製剤や低分子化合物などの新しい治療薬にも対応でき、薬の選択肢が幅広いことが特徴です。

手術は実績豊富な整形外科の専門医が行います。安全を第一とすることは当然で、それに加えて、痛みの軽減や人工関節が長持ちするように設置するといった、質の高い手術にも取り組んでいます。痛みの面では、麻酔科との連携のもと、手術中から術後の痛みを和らげるよう努めています。一方、正確な位置に人工関節を置くことが長持ちさせるうえで重要なため、高性能なナビゲーション機器を活用して熟練の医師が設置しています。
 

また、リハビリテーション環境が充実しているのも特徴の一つ。例えば手の手術を受けた方に対しては、手に関する高い専門性を持った作業療法士が医師と連携して、手術翌日から、実用的な機能を取り戻すことを目標にリハビリを提供しています。

健康診断では、オプションで膠原病・リウマチ検査を追加できます。関節リウマチをはじめさまざまな「膠原病(こうげんびょう、自己免疫疾患の総称)」に特徴的な抗体などをみる血液検査で、採血のみで調べられます。
 

記事監修: 医師 篠原孝明、土師陽一郎

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